大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和25(あ)290 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人勅使河原直三郎の上告趣旨について。

しかし第一審判決は被告人の自白の外補強証拠として証人A同Bの第一審公判廷

における供述、診断書、及び押収物件等を掲げているのであつて被告人の自白のみ

で犯罪事実を認定したものでないから論旨は理由がない。

弁護人宗宮信次、真木桓、池田浩一の上告趣意第一点について。

しかし新刑事訴訟法において控訴審は第一審の事後審たる性格を有するのみなら

ず第一審において証拠とすることができた証拠は控訴審においても、これを証拠と

することができることは刑訴三九四条の規定するところであるから第一審判決が採

用した証拠によつてその認定した事実を認めることができるかどうかを判断するに

ついては改めてその証拠について刑訴三〇五条所定の如き手続を行う必要はないの

である、従つて原審の手続には何等違法の点はなく論旨は理由がない。

同第二点について。

原判決は控訴理由の事実誤認の主張に対して原判示事実は挙示の証拠で優にこれ

を認めることができると判断しているが第一審判決が前科を犯罪事実認定の資料に

供した違法がある旨の所論の如き主張は控訴趣意書にも記載されず従つて原判決の

判断しなかつた事項である、即ち原審の控訴理由に対する判断としては前科の記載

してある所論身許調査書の証拠能力の有無は全然その対象となつていないのである

から論旨は刑訴四〇五条所定の上告適法の理由とならない。

同第三点について。

しかし原判決が論旨摘録の如く判示して第一審判決が所論被告人の供述調書を証

拠に採用したことは違法にあらずと判断した点には何等の違法なく、論旨は憲法三

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八条違反を云々しているが其の実右判断の違法を主張するに過ぎないものであるか

ら上告適法の理由とならない。

よつて刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。

右は全裁判官一致の意見である。

昭和二五年一二月八日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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